設計工学分野

目次
シミュレーションソフトウェア開発に関する研究 金属ナノ粒子のレーザ焼結技術に関する研究 機械構造物に発生する亀裂の逆解析 高速性能と曲線通過性能を両立する鉄道の研究 モードの切り替えを伴う非線形力学系の研究 短パルスレーザによる金属基板表面の微細加工

シミュレーションソフトウェア開発に関する研究

関東 研究室

実験を行わず、計算だけで現象を再現するシミュレーション技術はますます重要になってきています。高機能化・大規模化・高速化などが進んでいますが、それにソフトウェア開発技術が追いついているとは、必ずしも言えません。本研究室では、ソフトウェア開発を専門としない機械系技術者でも容易に高機能ソフトを作成できる開発手法について研究しています。対象として、主に構造物の安全性解析(破壊解析)を取り上げています。


ひび(キ裂)のモデル化

金属ナノ粒子のレーザ焼結技術に関する研究

前川 研究室

携帯電話などの小型電子機器の高機能化や軽量化において、内部のプリント配線板の微細化やその製造工程のミニマル化が重要です。例えば、電子モジュールの実装で必要となる機能性膜と呼ばれるワイヤボンディング用パッドは、一般にフォトリソグラフィ法や電気メッキ法で作られています。しかし、そのプロセスの煩雑さや大量の化学薬品の使用による環境問題が懸念されています。そこで、我々の研究室では少量の金属ナノ粒子にレーザを照射、焼結させて金属膜を形成する、省資源かつ低環境負荷型のエレクトロニクス実装技術を研究しています。


リードフレームピン先端に形成したレーザ焼結銀パッドとICチップとのワイヤボーディング接合の様子

機械構造物に発生する亀裂の逆解析

堀辺・森 研究室

構造物の欠陥の代表的なものの一つとして亀裂があります。亀裂は部材のプレス加工や疲労などによって発生し、亀裂が進展すると構造物の破壊や重大な事故を引き起こす可能性があることから、機械構造物において亀裂を早期発見し対処することは重要な課題です。本研究室では構造がシンプルかつ低コストで一度に広範囲の検査が可能であることから固有振動数の変化を利用した亀裂の同定をテーマの一つとして行っています。


き裂による固有振動数の変化

高速性能と曲線通過性能を両立する鉄道の研究

道辻 研究室

近年、クリーンで安全な交通システムとして鉄道が世界的に再注目されています。鉄道には新幹線、特急電車、通勤電車など様々な車両があります。それら車両には、輪軸といわれる二つの車輪を一本の軸で結合してユニットが使われています。輪軸は高速走行時において蛇行動といわれる振動が発生しやすく、急な曲線通過時には騒音や摩耗が発生する問題が未解決です。当研究室では、高速走行性能に優れ、急な曲線区間であっても騒音なくスムーズな走行を実現する、新しいタイプの鉄道車両に関する研究をテーマの一つとして行っています。


新方式操舵台車と走行実験装置の試作
(スケールモデル)

モードの切り替えを伴う非線形力学系の研究

今村 研究室

複数の動作特性(運動モード)が切り替わることで複雑・多様な応答をする振動系の力学を研究しています。特に、切り替えによる力学現象の時間発展を切り替え効果の絡み合いの累積ととらえ、安定性や分岐のタイプを調べる新しい記述形式・計算法の構築に取り組んでいます。このような基礎理論を整備することで、振動系が与えられた条件下でどれくらい大きく揺れるのかを明らかにし、将来、機械構造物が地震などで壊れないようにするための設計に役立てることを目指しています。


安定性を決定する式の一部

短パルスレーザによる金属基板表面の微細加工

山崎 研究室

一般にレーザ光による金属材料の切断や穴あけ加工は、レーザの照射で発生した熱を利用しています。一方で、非常に短い時間だけ光る短パルスレーザ光を照射すると、材料を瞬時に分解・除去でき、より微細な加工が可能です。我々の研究室では、ステンレス基板表面にピコ秒パルスレーザ光を照射して、凹型の三角形ピラミッド構造物の作成を行っています。このピラミッド構造を面配列すると、入射光の一部を入射方向に反射する再帰性反射素子となり、例えば、素子を形成した構造物の寿命などを遠く離れた場所から診断できる技術へ応用することができます。


短パルスレーザの照射によってステンレス基盤表面に形成したピラミッド構造