銀含有リン酸カルシウム作製時の廃液に含まれる銀回収の検討
1.リン酸カルシウムとは
リン酸カルシウムはリン酸とカルシウムの化合物であり,骨や歯の主成分となっています.
リン酸カルシウムはイオン交換性,生体親和性,吸着性,蛍光性などの特性を持ち,幅広い分野で応用されています.
図1 リン酸カルシウムの応用例[1]
リン酸カルシウムのイオン交換特性を活かして抗菌性金属を添加することで抗菌効果を付与し,消臭効果を向上させることができます. このとき,添加する抗菌性金属に求められる要件として安全性と抗菌性があります.銀は安全性が高く,古くから食器などで利用されており,これらの要件を満たす抗菌性金属として銀が採用されています.
図2 重金属イオンの抗菌性[2]
図3 銀含有リン酸カルシウムの利用例[3]
3.問題点
銀含有リン酸カルシウム作製時に出る廃液中の銀が細胞毒性や変色などの悪影響を及ぼす可能性があります.
また,製造時に出る銀を含む廃液は水生生物に悪影響を及ぼし,下水処理の微生物の働きにも悪影響を及ぼします.
4.研究目的
銀含有リン酸カルシウムの作製時の廃液に生じる銀イオンの回収方法に関する報告は少ないのが現状です. 本研究では,廃液中の銀濃度測定及びその回収方法を検討し,銀含有リン酸カルシウム製造における環境負荷の低減と資源の有効活用の実現を目的とします.
[1](左)築野グループ(株)HPより
https://www.tsuno.co.jp/products/fertilizer-feed/dibasic-calcium-phosphate/"
[1](中)オリンパステルモバイオマテリアル(株) HPより
https://www.biomaterial.co.jp/jp/news/2006/nr002.html
[1](右)Dr.アパタイト(株)HPより
https://drapatite.com/?yclid=YSS.EAIaIQobChMImNKJjq7T_wIVAbKWCh0XLAV2EAAYASAAEgJcI_D_BwE
[2]松村吉信: 銀イオンや銅イオンの抗菌性 化学と教育53(5) (2005)より
[3](左)京セラ株式会社 AG-PROTEX(エージー・プロテクス)より
https://www.kyocera.co.jp/prdct/medical/ag-protex/
[3](右)ファイントゥデイ HPより
https://brand.finetoday.com/jp/ag/12:18 2024/10/01